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2016.03.12

A pig who doesn’t fly is just an ordinary pig.

こんにちは。僕は北上にいる歯科医師です。略歴などは当院ホームページを御覧ください。コラムを通じて、分かりにくい歯科界や歯科医療について小説のつもりで書いていきたいと思います。

海外の大学院は、その入学に英語力を課しています。学校選びに1.期間、2、英語力、3、授業料の基準でインターネットを駆使して探しました。その結果、期間が短く、学位の取得を明確に謳っていたイギリスに的を絞ります。大学を卒業し、臨床研修を終えたのち、すぐに入学しようといろいろ計画をたてました。しかし、肝心の英語勉強が遅々として進まない。国内で受けたIELTSも全く歯が立ちませんでした。「診療を覚えながらでは何年かかるかわからない・・・」かなりの危機感を覚えた僕は何の準備もせず渡英しました。ただイギリスへ行こう。そうすれば、英語も大丈夫だろう。深く考えずにとりあえず語学留学することにしたのです。

NHS


イギリスの歯科医療制度にはNHSという保険診療とNHS対象外の自費診療が存在します。NHS(公的医療保険)は医科では窓口負担すらなく、フリーアクセスが確保されています。ロンドンの語学学校に通っていた際、僕は地元の剣道クラブでの稽古で怪我をしてしまいました。クラブの人に相談すると大学病院の救急へ行こうと言われ、診察を受けることが出来ました。旅行保険にも入っていなかったので内心ドキドキでしたが、少なくとも問診は無料でした。しばらくして、ホストマザーが通っている歯科医院を見学しましたが、歯科NHSはよっぽどじゃないと初診を取り扱っていないとのことでした。NHSでは1人の歯科医師が診れる患者数が決まっているようでした。多くの患者は歯科のNHSは非常に通いにくいので、自費診療で歯科治療を受けているのです。自費ですと予約を取り、スムーズに診てくれます。初診料は僕が見学した歯科医院で£48(約8000円弱)でした。歯科NHSは重篤度に応じた定額制となっていて、普通のむし歯治療であれば£51.30くらいで済むそうです。もちろん、矯正やインプラントをNHSで受けるのは至難の業なので自費になります。ただ、日本人にとっては例えNHSであっても歯科治療費は日本に比べれば割高ですから、帰国してから治療する人が後を立たないという噂は本当のようです。

National Insuranceを想う

日本の保険診療は安い。だから、良い。というのはちょっと違うと思います。よくイギリス人は歯が悪い、とジョークで言われてきましたが、それはイギリスのNHS(公的医療保険)に問題があったのです。以前の歯科NHSは「出来高払い」であり、日本の皆保険制度と似た制度でした。結果、歯科医師は「治療しなければお金がもらえない」という状態になり、その場しのぎの治療が横行します。それでは、病気を予防したり、しっかり「治る」ようにしようという流れにはなりません。最終的には国の医療費の公費負担割合が増大したために、現在のような「定額制」へと移行しました。痛くなったときに歯医者を探すのではなく、かかりつけの歯科医院で定期的にメインテナンスを受けるようにしたのです。ただし、イギリスのNHSは初めに書いたように、ひとたび治療となると「通いにくい=使いにくい」ので自費診療希望者もNHS登録者数と同じくらいいるみたいです。