海外歯科大学院留学とは⑤

IMC Münster Universityでの日々

私は、Unconditional OfferをいただいたIMC Münster UniversityのMSc in Implantologyプログラムに入学し、7月から授業が始まりました。このプログラムは、オンラインでのスカイプ講義と解剖実習や手技の実習などを行うスクリーニングなどの座学、提携施設や大学病院での臨床研修からなる約2年間のパートタイムコースです。

私の同期は全員で12人でした。彼らの出身地は、ドイツ国内はもちろん、イギリス、ラトビア、クロアチア、シリア、エジプト、タイ、オーストラリア、アメリカと国際色豊かで、大いに刺激を受けました。

座学の多くは本部のあるミュンスターで行われ、元ミュンスター大学顎顔面外科主任教授であるUniv. Prof. Dr. Dr. Dr. h. c. mult. Ulrich Joosを初めとする、各分野のエキスパート達の講義です。

Dr. Joosは、ドイツ外科学会会長やヨーロッパ顎顔面外科学会会長などを歴任した「Dr. Joosが現在のインプラント歯科学を確立した」と言われるほど、大変有名な大御所ともいえる先生です。研究としては、特にストローマンインプラントの研究・開発に貢献しており、そのためIMCではストローマンインプラントシステムで研修や実習が行なわれています。教育としては、ドイツ国内外の大学にミュンスター大学より多くの顎顔面外科主任教授を輩出いたし、IMCはそれらの大学と提携して創設され、グローバルな専門医教育を提供しています。

ミュンスターの美しい街路や建物を目当てに、放課後には、同期のみんなとレンタル自転車でサイクリングして観光や買い物などと、充実した楽しい日々を過ごしました。臨床の講義や研修は、ミュンスターに留まらずドイツ国内外の各施設で実施されます。

Cadaver Trainingは、ハンガリーブダペストにあるセンメルヴェイス医科大学解剖学教室で行なわれました。解剖学教室のネームプレートに日本人の名前を見つけたときは、私の高校の後輩がこの大学に入学していることを突然に思い出し、担当教官と日本人の進学状況などのお話もしました。

Live Ope Programは、ドイツオルスベルクにあるProf. Dr. med. dent. F. Khouryのプライベートオフィスで、講義と手術見学が行われました。Dr. Khouryは、同期みんなから「Dr. Khouryを知らないImplantologistは、モグリだよ」と言われるほど、欧米のインプラント関連学会で常に講演される、特に骨造成治療で世界的に有名な先生です。

Dr. Khouryに「日本でセミナーをされないのですか」とお話した際に、「日本にはDr. Nosakaがいる」と言われ、驚きWeb検索しました。芦屋市で野阪口腔外科クリニックを開業されている野阪泰弘先生とわかり、Dr. Khouryより「Dr. Nosakaの手術もぜひ見学しなさい」と推薦されもしました。

 Live Patient Programは、12人の学生がそれぞれの大学病院に配属されて行われました。私は、かの森鴎外も学んだドイツライプツィヒ大学病院にクロアチア出身の研修医と2人で配属されました。

顎顔面外科教室に、朝の術前カンファレンスから参加し、午前・午後と手術、夕方は抄読会と、主任教授であるProf. Dr. Dr. Alexander Hemprichのもとで学びました。今でもかなり緊張した日々だったと覚えています。

ライプツィヒ大学病院では、多くの時間を手術室もしくは外来で過ごしました。手術室では、実際に手洗い・滅菌グローブをして手術の助手についていました。時には、英語でジョークが飛び交う手術室に私がいる。そのことは留学前には全く想像できないものでした。

手術見学だけでなく, Live Patient Programで規定された症例に関しては、ライプツィヒ大学病院から限定歯科医師免許(Limited License)が発効され、私たち研修医が実際に手術を行ないます。Prof. Dr. med. dent. Hans-Ludwig Graf の指導監督のもと、私が実際に局所麻酔下で行った、インプラント手術は今でも鮮明に焼き付いています。

特に、教訓になったのは患者説明です。患者へは指導教授が事前に説明してありますが、あらためて私が患者に対し英語で説明します。説明した英語を、ついてくれた医局員がドイツ語に通訳してくれます。その中で一例だけ手術への同意を得られなかったことがありました。今思えば、当然のことです。研修医しかも日本人が、ドイツ語ではなく英語で説明したのですから、いくら指導教授の先生方がお膳立てしてくれていたとしても難しいものがあると思います。

ヨーロッパは日本に比べ、国境を越えて人やサービスが行き来する環境ですから、患者は外国人医師にも慣れています。それでも、インプラント手術というのは、患者に多くの緊張と不安を与えているものだとあらためて感じた瞬間でした。

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